200v電源というものをご存知でしょうか?
これはレコーディングスタジオの人やオーディオマニアの中では常識といった感じのもので、こういった方々はほぼ全員使う機材は200v電源からの電気を使っています。
(特にレコーディングスタジオは全部200vを使っていると言っていいでしょう)
とはいっても日本で使う音楽機材は大体120v用か100v用ですので、200vそのままで使うのではなく降圧機を使って100vや120vにしてから使います。
(120v機材の場合は降圧機で100vにしてから、昇圧機を使って120vにしたりする)
管理人は200v電源を使っていますので、今回は使用して感じたことを書いていこうと思います。
左が100V、中がネットとテレビのアンテナ、右が200Vのコンセント |
で、200V電源を使うとどうなるの?
簡単に言いますと、
低音にパワーがでます!
人によっては高音も綺麗になるという感想がありますが、管理人にはあまりよく分かりません。
そんな気もしますし、しない気もしますw。
とにかく今まで出なかった低音が出るようになります。
管理人はそれまでギターを録音したとき、その録音された音の高音が出すぎていることに悩んでいました。
それはもう「ちょっとハイが高いなあ」レベルではなく、「すごくキンキンして耳が痛い」くらいの音でした。
ライン録音ではなくアンプから音を出し、それをマイク(BETA 57A)で拾って録音しているのですが、アンプのローを高くし、ハイを削ってもそれはあまり変わりません。
なんか根本的なものが違う感じです。
つまりアンプのEQを変えるとかマイクを変えるとか小手先のものではなく、オーディオインターフェースなどの大元が原因だと思われるものでした。
(これはEQやらマイクはいろいろ変更し実験した後の感想です)
ですがオーディオインターフェースは古くて上位機種ではないですが、RME製のものなのでそこまで悪いものではないはずです。
RME Multiface AEという古いインターフェース |
しょうがないのでミキシングの時に高音をかなり切って低音を無理矢理上げるという方法で切り抜けていました。
「やはりオーディオインターフェースをフラッグシップ機位にしないとだめか」
とも考えていましたが、幸運にもコンセントを200ボルトに出来る環境になりましたので200ボルトでギターを録音してみたところ、
見事に解決しました!
キンキンとした高音が抑えられて低音がちゃんと出るようになったのです。
おかげでEQを「こんなに高音切って低音上げていいのか?」ってほどの上げ下げをしなくて済むようになりました。
(高音はほぼ限界まで下げていた)
ベースもベースらしい音で録れるようもなったので万々歳です。
(ハイが高いままミキシングをすると、まるでギターの低音みたいなベース音になるかならね)
200v電源(というかコンセント)にするとなんで低音が出るようになるのかは分かりません。
説によると200vの方が100vよりもコンセントへくる間にノイズを受けにくいらしいので、その関係なのでしょうけどよくわかりません(w)。
ただ結果的に100vコンセントのままよりも高音が抑えられて低音が出るというかその機材本来の音が出てくるような気がするので細かいことは気にしないでおきます。
(海外の機材はその作っている現地が大体120vだとか230vなので、そのノイズを受けにくい電圧状態で使った場合に丁度良い音が出るよう作られているでしょうから、そういった関係もあるかも)
どうすれば200V電源って使えるの?
まずはコンセントの電圧を100vから200vにしないといけません。
大体の家庭は電信柱からブレーカーまでは200vが来ていますので、そこから200vにしたい部屋のコンセントまでの工事をすれば200vのコンセントは設置できます。
工事代金の相場は2~3万程度を考えているといいでしょう。
同時にそのコンセント専用のアースも入れるとより良いでしょう。
アパートなどの分譲に住んでいる方は管理会社等の許可がいる可能性がありますので、許可を取ってから工事をしてください。
部屋にあるエアコンの電源が200vの人はそれを使ってもいいですが、おそらく専用アースまでは引いてないでしょうから完璧を目指すなら個別アース付きのコンセント工事を頼みましょう。
(エアコンのアースは洗濯機や冷蔵庫のと同じになってる場合もあるからね)
ちなみに200vのコンセントは20Aと15Aがあると思いますが、家庭用なら15Aでいいと思います。
(20Aと15A兼用というのもありますが)
すごく多くの機材を使うか、溶接など工業系の業務を行おうとしない限りは20アンペアも必要ないと思います。
それとコンセントの形も200vはたくさんの種類があるのでどれかを選ばないといけません。
有名なのは人の顔のような形をしたPanasonic(型番WK3811など)のものですが、管理人はアメリカン電気のもの(規格でいうと3120)を設置しました。
ぼやけていますがw 右がパナソニック、左がアメリカン電気の200Vコンセント |
次に200vを100vに降圧する機材「ダウントランス」が必要です。
これが結構高いのですが(軽く10万くらいはみていい)、気をつけて欲しいのは音楽用のダウントランスを買うことです。
別に溶接機器用のものでもだめではないと思いますが、あちらは音楽的なノイズ等は関係ないのでそのあたりの信頼がおけません。
なので音楽用のものをおすすめします。
といっても音楽用のダウントランスは現在ネットであまり数を見かけません。
自分が使っているCSEという会社も倒産してしまったようですし、(この電源が壊れたらどうしたらいいんだ・・・)後はサイトの文章が怪しいでお馴染み(w)の「プロケーブル」くらいしか見当たりません。
頑張って状態の良い中古を探すか、最後の手「プロケーブル」商品を買うしか今はないかもしれませんね。
(新しいダウントランス製造会社立ち上がらないかなー)
ちなみに昔プロケーブルのものを買ったことがありますが、物自体はそれ程悪いものではありませんでした。
(プロケーブル自身が商品を製造している訳じゃないだろうからね)
ただ、メールで質問しても返事は何もないのでその辺りは「うーん」という感じですw。
CSEのダウントランス 100Vでも200Vでも使える |
他にはダウントランスとコンセントを繋ぐ200V対応の電源ケーブルも必要です。
プロケーブル商品のダウントランスであれば本体を買った時に付属しているようですが、自分が買ったCSEの電源には付いていませんでしたので(100V用の電源ケーブルはついていたけど)、自分は富士通の通販で売っている200V15A用の電源ケーブルをネット注文で買いました。
(ここでしかアメリカン電気用のプラグがついた200v15Aの電源ケーブルは見つけられませんでした。富士通さんありがとう)
注意事項
200V15Aのコンセントには20A用と15A用どちらの電源ケーブルも使えますが、200V20Aのコンセントに15A用の電源ケーブル使うと燃えたりする可能性があるのでやめましょう。
(ネットでは200V20A用のケーブルがあまり売ってないので注意)
200vコンセントとダウントランス、それに電源ケーブルが揃えば200vの恩恵が受けられるようになります。
200Vのケーブルプラグ 100V用のと全然違う形態をしている |
100vと200vの違いを比べてみる動画を作ってみた
というわけで100vの壁コンセントと200v電源の比較動画を作ってみました。
と言ってもこれは最初から最後まで全部100vで作ったり200vで作ったものではなく、以前100v壁コンセント使用での機材で録音した素材をDAWでミキシングし、オーディオインターフェースのDAからアウトボード経由で外出し2ミックスを作る際に使った機材(オーディオインターフェース含め)の電源を100v壁コンセントか200v電源かにしたものの比較です。
曲が何でジュディマリの「Over Drive」なのかというと、これを作っているときに自分用の比較音源として作ったからですw。
聴いてもらえば分かると思いますが、
200vの時の方が若干パワーが増す感じがします。
といっても少し効果が薄い感じがしますね。
これを聴いて、
「なんだ200vにしたって全然変わらないじゃん、結局機材ヲタのオカルトかよ」
そう思われる方がいるかもしれませんが、よく聴けば100vより若干低音が出てるのは分かります。
先ほども書いたようにこれは楽器等各トラックを録音したりミックスする際は100Vで作っています。
(管理人は打ち込みトラックも一度音を外に出してwavファイルにする)
なのでこの動画では僅かかもしれませんが、200vで楽器等を録音し、ちゃんとした低音が出るトラックを重ねて行けば最後にはこの音源よりもパワーがある曲になっていくでしょう。
(録音ではよく「録り音が肝心だ」と言われるように、最後の2ミックスで音質等はなんとかなると思っていたら大間違いで、やはり録り音が大切なんだと思いました)
管理人の動画で言えばミスチルの「抱きしめたい」からが、録音からマスタリングまで全て200v電源を使って作ったものになります。
追記:
他の方の記事等をいろいろ読んでみると、どうも200V電源は録音よりも外に音を出して聴く方がその効果を大きく感じられるようです。
なのでレコーディングよりも聴き専の方の方が200Vにする恩恵をより受けられるのかもしれません。
とはいえ録音でもその効果が0というわけではありません。
一つ一つでは薄くても音を重ねていけばそれなりに大きな効果になってきますので、やはり意味があると思います。
もしくはアンプなどで音を出しての録音であればそのアンプの方を200V電源にすると効果が高いんだと思います。
宅録、聴き専 結局どっちにも200Vがおすすめだよ
100vの壁コンセントでも特にノイズがのらなければそれでもいいと思います。
自分の感覚では低音が若干弱まるので高音が目立つようになり、ぱっと聴きではこっちの方がきらびやかで音も大きく聞こえ、良い感じもします。
ですが全て壁コンセント100vで作った曲を市販の曲と比べますと、やはり低音が弱いので結局パワーというか音圧で負ける感じが出てしまいます。
「それならイコライザーで低音を上げればいいじゃん」
と思うかもしれませんが、元々ある音(低音)を使うのと元々ない音(低音)を無理矢理イコライザーで上げるのとではやっぱり同じにはなりません。
というか「200vで出る低音はイコライザーでは出てこない低音」なんじゃないかと思います。
(100vでギターを録音していた時、どれだけイコライザーをいじっても納得いく感じにならなかったが、200vで録音したらイコライザーをかけなくても良い感じになったので)
なので市販の曲のような質感を将来的に目指すのであれば、いつかは200v電源を導入する必要が出てくると思います。
(レコーディングスタジオはみんな200v電源使ってるしね)
また聴き専の人でも、きらびやかな音より重厚な感じが欲しい人には200v電源での視聴をおすすめします。
やはりこちらの方が音にパワーというか深みが出ると思います。
それに使っているDACが妙に高音に寄っているという場合にも、そのDAC本来の音というか丁度聞きやすい質感になる可能性があります。
管理人はBenchmark「DAC-1USB」を使っていますが、これを買った人のレビューを読んでいますと、
「ノイズもなく音は綺麗だがキンキンしすぎてうるさいから手放した」
というのを結構見ます。
真ん中にある黒い機材の上がBenchmarkのAD、下がDA |
これは自分でもそう思っていました、この機材は高音に寄りすぎていると。
これでは使い物にならないなあと思っていたのですが、200v電源で使ってみたらちゃんと良い感じの音になりました。
(自分の環境下では200vを100vにダウントランスしてからの昇圧機で120vにして使っています。以前までは壁コンセント100vから昇圧機で120vにしただけだった)
海外のコメントでは「キンキンすぎて使えない」なんてコメントは見られなかったので変だなと思っていたのですが、その理由が分かった気がします。
やはり外国メーカーの音楽機材は日本の100vのままでは、例え昇圧させたとしてもその真価を発揮できないんじゃないかなと思いました。
海外メーカー製DACを使用している方でその音質に悩んでいる方は、他の新しい機材を探す旅に出るのではなく、200v電源を導入してみるというのも悩みを解決する一つの方法かもしれませんよ。
このように、レコーディングにも聴き専にも有用だと思われる200v電源を皆さんも導入してみてはどうでしょうか?
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