コンデンサーマイク 宅録での使い方(防音とセッティング)

2017/08/03

マイク レコーディング 音楽 音楽機材


コンデンサーマイク AKG 3000b 旧型
旧型の「AKG C3000b」
みなさんコンデンサーマイク使ってますか?


自分は主にボーカルアコギの録音に使っています。
(U2の人はボーカル録音にSM58使ってるって昔聞いたけど今でも使ってるのかなあ?)

        主にライブなどに使うオーソドックスなマイクです


とは言ってもスタジオでもない普通の家でコンデンサーマイクを使うには、少々難しいところがあります。
SM58のようなダイナミックマイクよりも録れる音の範囲が広いので(ダイナミックマイクは網々なグリルホールの周りくらいしか大きく音を拾わない)、外で走っている車や鳥、虫の声、クーラー、家族の会話などもかなり拾ってしまいます。


「ミキシング時に混ぜてしまえば気にならないレベルだよ」


という方もいると思いますが、こういったものは微かなノイズとなって曲全体の濁りの原因になりかねない、というか本当に曇ります。


なので人々は無音な環境を求めて、専門的なレコーディングスタジオリハスタのセルフ録音なども)に行くというこになるのですが、「そこまでするお金がない」どころか「そんな施設は家の近くにない」という方もいると思います。


そこで今回は自分がやっているコンデンサーマイクの防音セッティングを紹介しようと思います。




まずは窓を全部閉める


基本ですが窓を全部閉めるところから始めましょう。
家の壁にもよりますがかなりのノイズが押さえられると思います。

窓を閉める
窓を閉める
カーテンも閉めるとより良いですが灯りをつける必要がある

とはいえ冬はこれでいいのですが、夏にこれではすぐ蒸しあがってしまい、レコーディングどころではなくなってしまいます。
(機材やパソコン等にも悪そうです)


そこで絶対に必須なのがエアコンです。


夏場の締め切った部屋でのレコーディング、これは扇風機くらいでは絶対にしのぎ切れませんw。
(クーラーが壊れた部屋で録音したこともあるので経験済み)

レコーディングを自宅でやるなら必要になるので録音する部屋には必ず設置しましょう。
「録音は冬オンリーだぜ!」という方は大丈夫ですw。
(エアコンはノイズ発生器だから録音の大敵という意見もあるかと思いますが、最近のエアコンならそこまでうるさくはないように思うのでマイクと離れていればOKでしょう。古いエアコンはきびしいかも・・・)

ただしエアコンの風力は中くらいまでにしましょう
風力「強」では流石に新しいエアコンでも音がすごくなります。

中くらいでもエアコンの音が大きい場合は、録音するその時だけ最弱もしくは消して、DAW等を操作したり準備してる間は最強にしてその間に冷やすなど、切り替えていきましょう。


あとパソコンはコンデンサーマイクを置く位置からできるだけ離しておいてください。
パソコンは結構ノイズがすごいですからね。

どうしても距離が離せない場合は、パソコンとコンデンサーマイクの間に何かしら遮るものを置いてください。
できるだけ硬いもので遮断するとより防音できます。 


コンデンサーマイクをセッティングしていこう


周りを整えたらマイクのセッティングをします。

マイクスタンドにコンデンサーマイク用のホルダーをセットしていくのですが、このままでは部屋の反射した音も取り込んでしまい、これもまたノイズ(というか音が曇る)の原因になってしまいます。

そこで必要になってくるのがリフレクションフィルターといわれるものです。
これはコンデンサーマイクの周り半分を吸音材で覆って、部屋中のいたるところから反射してくる音をカットし、少しでもデッドな環境(録音する音以外は自然な響きなども録らないようにすること)を作ろうとする機材です。


リフレクションフィルターは普通のマイクスタンドに固定させて使います。
(横から覆っているだけで上と下は開いてますから、音がそこから入ってきて意味ないじゃんと思われるかもしれませんが、吸音材というものは思ってる以上に周りの音を吸うので全く意味ないことはない)

こういうのがリフレクションフィルターです


ですがこのリフレクションフィルターというものは結構いいお値段がするもので、尚且つ重そうですw。

安物のマイクスタンド(自分の使ってる柱が細いタイプのマイクスタンドなどw)ではうまく固定できるのか冷や冷やします。
(実際に使ったことはないので推量ですが、調べてみたところリフレクションフィルターは3kg弱程あるようです)


まあリフレクションフィルターが高いと言っても、その値段のはピンキリです。
が、やはり安いものはその防音部分の面積が小さいですw。

かといって高いものを買うには勇気がいります・・・。


そんな方に自分がやっている半分自作のリフレクションフィルターを紹介します。



半分自作のリフレクションフィルター


まずは吸音材を用意します。
ここは避けて通れませんw。

自分はサウンドハウスで買った「60×60cm山型の二枚組み」を使っています。
5000円くらいですかね。
厚さが50mmくらいのポリウレタンがいいでしょう

次にこの吸音材を固定させるスタンドのようなものを用意します。

自分は楽譜立てが二つあったのでそれを使ってます。
譜面台を2台並べる
二つの譜面台
譜面台に吸音材を乗っける
吸音材を乗っけてカメラなどの小さい三脚で上を繋ぐの図
楽譜を落ちないようにする下のバーがあるタイプだと固定させやすいのでおすすめです。
それがないクラシック用譜面台の場合は洗濯ばさみと爪楊枝で自作するなりしましょう。
譜面を固定させる下のバーがついているものを選びましょう

吸音材を固定させたら、それらをハの字になるようにセッティングしましょう。

その際、二つの間に隙間を作らないようにするのですが、楽譜立ての上の部分(楽譜を置くところ)は床に対して垂直の角度にしようとしてもそうはなりませんので、そのままで八の字に配置するとどうしても隙間ができてしまいます。

なので何か軽く挟むものなどを使って二つの吸音材を繋ぎましょう。
(ガムテープでもいいですが、自分は小さなアルミのデジカメ用三脚を使ってます)


自作リフレクションフィルターのハの字角度をどれくらいにするかはお好みでいいです
が、狭くしすぎるとデッドすぎるかもしれませんので適度な角度にしましょう。


最後にコンデンサーマイクをセッティングします。

マイクホルダーにマイクをセットしてからシールドを接続し、マイクプリアンプのMic INに挿します。

コンデンサーマイク 吸音材とc3000b
コンデンサーマイク 吸音材とc3000bとポップガード
こんな感じで

マイクプリアンプの電源を入れてから最後の最後に48Vのスイッチをいれましょう。
(本当は入力出力どちらもボリューム0にしてからの方がより安全だと思います。電源を切る時もボリューム0にしてから48Vファンタムスイッチを切り、それからマイクプリアンプの電源を切る方がより安全だと思います。)
入門用コンデンサーマイクで人気のRode NT1A


この自作リフレクションフィルターの良いところは、

思ったよりも防音できてる!


ハの字にしたリフレクションフィルターの間に顔を入れてみると、上下と後ろが開いてるのにも関わらず、本当にフィルターの向こう側からの音が聞こえにくくなります。
「吸音材」の字の通り、音が吸われている感じです。

これならば部屋を締め切っても聞こえる音(もれてくる外の音、パソコン、クーラー)もある程度カットできると思います。
(というか現にできている)
締め切った部屋と合わせて二重の防音になります。

デッドやライブ(反響のあるなし)の調節が少しできる!

リフレクションフィルターのハの字角度を狭めたり広げたりすれば、お好みのデッドさがある程度作れます。

家で弾き語り配信などをする方は、八の字を開き気味にしてノイズカットをしながらも少しライブ感を入れる、といった使い方もできるのではないでしょうか。

本物のリフレクションフィルターより安い!

吸音材が5000円、固定する台を譜面台でやれば2000円程のを二つ、合計9000円です。
リフレクションフィルターの一番安いのは税込み11600円ですから3000円弱安いです。

なんか値段的にはそこまでお得にはなってないように感じますが、市販のフィルターはその防音部分の大きさが自作のものより小さいのでその点がお得になっています。


一つマイナスなのが、自作リフレクションフィルターは60×60が二面で作られてますので、場所を結構取ることです。

この自作リフレクションフィルターを使うには、部屋にそれなりの横幅を確保しないといけません。
(ちなみに市販のフィルターは全体でH40 W45 D35(半月型なので奥行きもある)くらいの大きさです)

マイクは口の前にセッティングしない


マイクの設置位置についても触れておきます。

ボーカルとマイクの配置というと、どうしてもイメージ的に口の真っ直ぐ前での至近距離にマイクを置いてしまいがちですが、これは録音時にはあまり良くないといわれています。

この位置はライブ時には様になって格好がつく配置ですが、録音時(特にコンデンサーマイク)には息が強くあたってしまいますので、リップノイズなどの後で困る雑音が入ってしまう確立が高まります。

なので口の真っ直ぐ前&至近距離には配置しないようにしましょう。

コンデンサーマイク 録音では悪いセッティング
口のすぐ前にマイクを置くの図
ダイナミックマイクであればグリルボール(音を拾う丸い網の部分)の中にポップガード的なものが入っているので、口の前にセッティングしてもいいと思われるかもしれませんが、ふと買ったマイク(Beta57a)の説明書を読んだ時、


「なるべくマイクは口元を狙うのではなく鼻先あたりを狙うといいでしょう」



と書いてありました。

なのでダイナミックマイクであっても、ノイズ対策をするなら口元ではなく鼻先を狙うのが良いでしょう。
(特に音質が変わるということはないのでその辺は大丈夫です)

SHUREのダイナミックマイク「BETA57A」に関しては使用レビューを書いています。
良かったら読んでみてください。
音楽機材:SHUREのダイナミックマイク「BETA57A」を使ってみてのレビューとマイクのセッティング


次にマイクとの距離は20cmくらい離すのが良いと思います。

ダイナミックマイクは近接効果込みで音質が調整されていると言われますが、それはライブ時の事を言っている気がしています。
近すぎる距離で録音すると低音が強すぎて曇っているような音になり、結局ミキシング時にローを大きくカットしてハイをブーストすることになります。
(特にSM58はその傾向が強い)

それに離した方がノイズの入りも少ない気がします。

なのでイコライジング的にもノイズ対策的にも、ダイナミックマイクでのレコーディングは20cm以上離すのをおすすめします
(この辺は好みの域かもしれませんがね)

コンデンサーマイク セッティング
こんな感じで

コンデンサーマイクであればリップノイズ等の対策としてポップガードをつけて録音すると思いますが、ポップガードはハイの成分が削られるという面があります。

それが嫌な場合、ポップガードを外すことになるのですが、これだとポップノイズなどの入り込む確立が確実に高まります。

しかし、先ほど書いたようなマイクの向きを口ではなく鼻先に向けるセッティングであれば、強い息を直で受けないのでポップノイズを少し軽減させることが出来ます。

又、ポップガードをつけてのノイズ対策をしたいの場合であれば、ポップガードは口前に、マイクはその少し後ろ上で鼻先を狙った配置にすればノイズをより軽減させることができるでしょう。
コンデンサーマイク 良いセッティング
画にポップガードはありませんがイメージ的にはこんな感じで斜め上に配置
床に対して垂直にせず、少し斜めに倒すと風の流れを分散させて良いようです。


これ以外のノイズ対策方法としてはマイクの前に細い棒(鉛筆など)を貼り付けるのも風の流れを分散させるので良いようです。

話によるとプロのスタジオでもそうやってるところがあると本にありましたw。
(特にポップガードを使わない場合など)


個人的にはプロのレコーディング風景でよく見る上から吊るす方法もノイズ対策に意味があると思います。
(真っ直ぐいく息が何にもぶつからないからマイクに強い風が入りにくくなる)

この吊るす方法は真空管マイクを使っていた頃に熱がマイクの口元に上っていかないようやっていたなごりのようですが、今でもやっているところをみるとノイズ対策的にも意味がある気がします。
(音質的な変化は何もないようですが。格好が良いだけという説もある)


人によってマイクの録音に求める方向性は違いますので、上記の方法やそれ以外の方法をいろいろ試して自分の求めるマイクセッティングをしましょう。

最後は乾燥剤で保存しよう


最後にコンデンサーマイクを保管する時のことを。


本物のスタジオなら「デシケーター」というコンデンサーマイクを湿度から守り、防臭防カビなどもする専用の機械に入れておくのですが、宅録家としてはもう少し安く保存したいものです。

そこで有名なのがジップロックに乾燥剤を入れる方法です。

コンデンサーマイクの保存
空気も抜いて保存しよう

これはそのまんまな方法で、乾燥剤は楽器専用のものでなくても個別包装のバームクーヘンに入ってるの(食品とは直接接触していないもの)とか、個別包装の海苔缶に入っているものとか、汚れていないものならなんでもいいといわれていますし、自分もそういうのを使ってますw。

コンデンサーマイク 保存のための乾燥剤
こういうの

この方法でも十分に湿気は取れますので使える方法だと思います。

ただデシケーターみたいに消臭などの効果はありません。

あと、ある程度時間がたったら取り替えましょう。
乾燥剤は消耗品ですので。

楽器用の乾燥剤
楽器用の乾燥剤
コンデンサーマイク 「AKG c414」のケースに乾燥材を入れて保存
ケースに入っているコンデンサーマイクは入れなくてもいいけど、気になるなら入れてもいい

ちなみに湿気がついたらどうなるかというと、レコーディングをしているときに時々、


ポッ  ポッ


という感じのノイズが定期的に自然発生します。

一瞬マイクが壊れたかと思いますが、焦らずにドライヤーなどの熱風を遠くから少し当てては止めてを繰り返してください。
湿気が乾いてまた使えるようになります。
この方法はすぐ使わないといけない時用で、時間があれば直射日光ではない日なたの暖かい場所での自然乾燥などが望ましい

大体湿気は冬場に多く出てきますので自分としてはファンヒーターの熱風で乾かしますねw。
(急いでいる時にね)


今回は宅録時におけるコンデンサーマイクでの防音について自分が実践していることを書いてみました。
よかったら参考にしてみてください。

それでは良い宅録ライフを~~。


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